精神科医のインターネット進出

 米国ではすでに何年も前から、アドバイスは欲しいが精神科医の前の椅子には坐りたくないという人達のために、コンピューターの自助プログラムがつくられている。しかしビデオ会議の開催が現実化したここ2,3年、新しい発展が始まっている。精神科医やカウンセラーによる遠隔治療である。もっとも、ビデオ会議用の機器はまだ何千ドルもして、カウンセラーにとってもクライアントにとっても高すぎるので、まだ流行の域には達していない。しかし精神科の治療には平均して1回に100〜200ドルかかるので、初期支出を別にすれば、1回20ドル程度で治療が受けられることは魅力である。この分野の多くの人が、心の健康管理に新しい領域を開くものとなると感じている。

 だがデメリットも警告されえている。Eメールから得られる情報量は、対面治療で得られる情報量とは比較にならないので、正確な診断が難しい。またEメール・タイプの治療では、表情などの重要な非言語的情報が得られないが、これも実は診断に大きな役割を果たす。遠隔からの治療では、クライアントが抱える深層の問題を把握することは難しく、クライアントの側も自分を変えていこうという決意を持ちにくい。

 しかしながら、対面治療の代替物として、あまり突っ込んだものではなく、個人生活のためのより全般的なアドバイスや結論を求めている人達には、1つの良い解答になるかもしれない。しかしまた、その程度のことなら、インターネット上の様々なチャット・グループや会議室に加わるだけでも、同じような助力は得られると言う専門家もいる。

 英国では、最近少なくとも1人の精神科医がこの分野に乗り出し、セルフ・ヘルプの手段としてのサービスを提供している。彼が提供しているのはビデオ会議、チャット・グループ、Eメールによる質問への回答という3種類のサービスである。彼は、こうしてクライアントの問題を取り扱うだけではなく、クライアントが自分で使えそうな精心分析的手法なども説明して、充分にやる気があれば、彼の助けなしでもセルフ・ヘルプの治療を続けて行けるように仕向けている。(Psychology Today)


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