●第5回・新しい経済社会を考える・「起業」という生き方


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新しい経済社会を考える・「起業」という生き方 | 【1】スモールビジネス起業ワークショップ - 【2】未来バンク

「好きなことを仕事にする」――スモールビジネス起業ワークショップ

 「スモールビジネス」という言葉を知っていますか?

 好きなことから始める、それがスモールビジネスです。規模の大小ではありません。たとえば雑貨が好きで、小さい利益でいいから雑貨屋さんを開きたい、ということであれば「スモールビジネス」。
 対して、世の中的に多くの需要があり、相応の利益を望めるから、という理由で始めれば、どんなに小規模の事業でも「ビッグビジネス」と呼ばれるものになります。つまり、“儲けること”に価値を置くか、自分の中から湧きあがるものを大事にするか、の違いです。

▼受講料などの詳細はこちらをご参照ください。

【スモールビジネス起業ワークショップ】
http://www.umds.ac.jp/jim/koho/newsp/2001/09/etc_170a.html

4月から翌年3月までを一期としますが、
途中参加も可能です。
私は今年の1月〜3月まで通って、
受講料を15.000円から4.000円に割り引いてもらいました。

 私がスモールビジネスという言葉を知ったのは、マガジンハウスより発行されていた(知る人ぞ知る)『MUTTS(マッツ)』という雑誌からでした。雑誌というのはほとんど読者のニーズを先に考えてから作るものなのですが、『MUTTS』の作り方は大胆でした。良く言えば気まま、悪く言えば好き放題(ぬ? 違いがない・・・)。イラストレーターや、ある種のクリエイターが好みそうな作りです。

 残念ながら『MUTTS』は現在休刊し、Webで展開するオンラインマガジン(http://www.mutts.co.jp/)になりましたが、常に「イマドキ」の女の子たちをリードしてきたマガジンハウスが面白いことをやったという印象があります。そこの編集長をやっていた方が、スモールビジネスのワークショップを開いている、流通科学大学の村山貞幸先生とお知り合いだったということで、雑誌で紹介されたということです。お互いの感覚に合い通じるものがあったそうですよ。

自由闊達・思い思いの意見が飛び交うワークショップ

 さて。実際、「起業」をテーマにしたワークショップやセミナーは山のようにあるのですが、たぶん、ここは異質かと。

 ――とか言ってよそのセミナー等に行ったことがないから人づてに聞くしかないのですが、だいたい、専門家や講師の人が、事業計画書の書き方などをレクチャーしたりするパターンが多いそう。

 ところが、こちらのワークショップは受講している人たち、すべてが会議室形式で向かい合わせに座ることから、講師(村山先生)にレクチャーしてもらう、という雰囲気はありません。むしろ受講生ひとりひとりの自主性を促されるような感じ。

 最初に受講するときは、自己紹介がわりに、自分はどういうテーマで起業したいか、ということを言うのですが、「・・・まだやりたいなぁ、って思っているだけで、具体案はないの・・・」という状態でも、ぜんぜんOK! 誰もハナで笑ったりしません。みんなまだ起業素人で、ヒヨッ子なんだ、という意識で見守ってもらえます、たぶん。というか、スモールビジネスというモチーフが呼び寄せる人たちは、何がなんでも儲けたる! 世の中ゼニや! といった観念がないからでしょうか。わりとのんびりした印象です。

 そこから皆で向き合って何をやるのかというと、具体的にプランを持っている受講生が前もって指名を受け、自分の構想する起業についてプレゼンテーションをし、それを元にして意見を交わし合う、というごく単純なことです。ごく単純ですが、小人数制(最大30人程度)なのも手伝って、受講生はみんな真剣に聞きます。真剣ですから、突っ込みも容赦ありません。疑問質問はもとより、計画のツメの甘さとか、現実的でない部分を遠慮なく指摘してきます、みなさん。コワッ!

 その状況に至ると、ああ、ここは「起業」という、すさまじくエネルギーの要ることを目指す人たちの集まりなんだと感じます。生半可な決意じゃダメなんだ・・・と挫折するか、そこでなにくそとファイトを燃やすかは、人それぞれでしょうね。

 しかしそこまで忌憚のない意見が飛び交って、険悪な雰囲気にならないってすごいな〜、みんな大人だな〜と思っていたのですが、やはりたまにはこじれることもあるようです。そうなったら村山先生が仲裁すると。前述の通り、村山先生は、あれこれレクチャーするタイプの先生ではないので、受講生の自主性を見守っている「みんなのお父さん」的存在かと思います。先生の人柄に安心感を持って集まっている面があるとすれば、セミナーとかワークショップというより、「村山先生の私塾」と言ったほうがいいかとも。

「そう、“塾”ってつけたかった(笑)」(村山先生)

 村山先生が、このワークショップを開いたのは、過去にビッグビジネスに関わって、すっかり倦んだ経験があったからだそうです。

 流通科学大学で、経営学を教えてらっしゃる先生なのですが、いわゆる「大学のセンセイ」とか「学者さん」ではなく、ご自身がおっしゃるには「実務派」(・・・というのはちょっぴり謙遜した言い方だと思われます。ニュアンス的には「実践派」 or 「体験派」)だそうで、MBA――経営学修士――もお持ちなのですが、それはあくまで「手段」だから、とおっしゃっていました。机上の学問にはあまり興味が湧かないということでしょうかね。
 

 先生自身が“好きなこと”をやっている。ワークショップは大学の研究室から起こしているものですから、ご自身の金銭的利益はまったくなく、むしろ受講生を集める広告を出すのに私費を投じることもあるとか。
 
 そしてスモールビジネスの考え方を追求していくうちに、ビッグビジネスのやり方も応用として使えるということに気付き、現在は両方の良い面を生かすことを考えているそうです。淡々と話すやさしい面差しの先生ですが、考え方は男性的。つーか現実的。

 「夢がカタチにならない」――そんなジレンマを持つ人は多いはず。“理想家のたわごと”にしか聞こえないことを耳にしたり、自分で言ってしまったりすることも。では、理想・夢想にしか聞こえないとしたら、原因はなんだと思われますか?

 「ううーん、“わかってない”からだろうねぇ・・・」(村山先生)

 夢と現実との距離。距離感。そこをきっちり測りながら行動することができたら。

 おそらく先生は、ディスカッションしながらそういうことを自分から学び取れる「塾」にしたかったのかと。(ホントは「〜夜塾」と名付けたかったんだそう。)
 私もキタンのない意見を大いに述べさせていただいたクチですが、話していくうちに頭の中がまとまっていきます、確かに。人に言われるんじゃなく、自分で気付くってとても大事だと思う。そして、横からあれこれ言わない、保護者的座長の存在って重要なんだと感じました。

異業種間の交流と、仲間意識

 ワークショップでは、まだ自分のやりたいことが何なのか定まっていない人も来ます。もうすぐ定年なんだけど、何かできることを探している、とか。
 20代から50代以上まで、幅広い年齢層の男女が集まる空間ですし、現在勤めている会社の役職などからも離れたところで話しますから、いやでも世間勉強になります。異業種間の交流や、情報提供・収集という側面もあります。

 1999年から始めて、その間に訪問介護ステーションやCafe、靴の洗濯屋、やきいも屋など、様々な起業を成功させた受講生が出ました。赤坂見附の紀尾井町、というどえらいハイソな場所で行われている地味なワークショップですが、「スモールビジネス」という考え方がフィットするようでしたら、ぜひ参加してみてください。お薦めです。


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